日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
自己免疫性肝炎を合併した高安病の1症例
磯久 一郎石合 純夫小田 浩之笹川 豊沼野 藤夫前沢 秀憲
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 74 巻 7 号 p. 939-944

詳細
抄録

50才,女性. 5年前より肝機能障害を指摘されていた.左橈骨動脈の脈拍触知困難および両鎖骨上窩の血管性雑音から高安病を疑われ来院し,大動脈造影にて確診された.血清γ-グロブリン値の上昇,自己抗体である抗平滑筋抗体の出現が認められ,腹腔鏡および肝生検の所見より自己免疫性肝炎の合併が判明した.高安病と自己免疫性肝炎の合併例は調査した限りでは厚生省難治性の肝炎調査研究班の統計1)に挙げられた1例のみである.しかし高安病と自己免疫疾患との合併については,現在までに幾つかの報告があり,決してまれではない.今回我々が行なつた文献検索では,高安病とほとんどすべての膠原病あるいは自己免疫疾患の合併例の存在することが明らかにされた.本症例と文献上の自己免疫疾患合併例の検討から,多因子疾患と考えられる高安病には自己免疫疾患に罹患し易い何らかの病態が存在する可能性が考えられた.高安病の成因の解明の一助として自己免疫疾患合併例の集積および検討が必要であろう.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top