1985 年 74 巻 9 号 p. 1231-1236
初回貫壁性梗塞69名において血中creatine phosphokinase遊出動態と,その慢性期心機能との関係から責任冠動脈の早期spontaneous reperfusion(SR)について検討した.急性期(発症8時間以内)に冠動脈造影法を施行した42名では, PTCR成功例において閉塞例におけるより,発症から血中CPKが頂値に達するまでの時間は有意に短かく, SR例では前記の中間値を示した.同一のpeak CPKレベルでは, SR群, PTCR成功群で,また, PTCR未施行の27名では, CPK peak早期到達群でおのおの閉塞群, peak到達群遅延群におけるより慢性期心機能は良好に保たれていた.すなわちPTCR以外にも,早期のSRが存在し,血中へのCPK遊出を早め,ひいてはpeak CPKと心機能の相関に変化を与えたと考えられた.