日本内科学会雑誌
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妊娠中に黄疸を初発症状としたBurkitt's lymphomaの1例
アフリカ,アメリカ例との比較検討
芳賀 陽一千葉 陽一吉田 豊伊原 勝雄相沢 道郎奈良 秀八洲
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1985 年 74 巻 9 号 p. 1300-1305

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抄録

妊娠21週目で黄疸を初発症状として発症した33才のBurkitt's lymphoma例を報告する.家族歴は特記すべきことなし.てんかんの既往があり, 30才より妊娠時までaleviatinを服用していた.入院時黄疸があり,表在リンパ節腫大はなかつた.右季肋部に肝を2横指触知し,さらに圧痛を伴う鶏卵大弾性軟の腫瘤を触知した。腹部USG・腹部CT・PTC検査の後,開腹術にて膵後方より胆管に連なる手拳大の腫瘤を確認した.大網は塊状で,肝表面には白斑が散在していた.生検標本で小空胞を有するリシパ芽球様細胞が脂肪組織に浸潤し, starry sky像がみられた.またSudan III染色陽性, methyl-green-pyronin強陽性, PAS陰性でありBurkitt's lymphomaと診断した. VEMP療法を行なうも両側乳房への転移,両側腋窩部・鼠径部のリンパ節腫大が出現,第74病日に腎不全で死亡した,血清EBV (EBNA)抗体価は陰性であった.本邦には約70例のBurkitt's lymphomaの報告がある.妊娠中の発症と初発症状が黄疸の報告は本例が初めてである.本邦例をまとめアフリカ例・アメリカ例との異同について文献的考察を加えた.

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