日本内科学会雑誌
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治療中に急性横紋筋融解を合併した著明な高ナトリウム血症(200mEq/l)の1例
羽場 利博木藤 知佳志竹下 治生山崎 義亀與
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1986 年 75 巻 1 号 p. 24-27

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抄録

高ナトリウム(Na)血症と急性横紋筋融解をおこした50才女性を報告する.患者は後腹膜下膿瘍のため,ドレナージと抗生物質投与を受けたが,術後27日目に著しい高Na血症をきたした.血清電解質はNa200mEq/l,カリウム(K) 1.5mEq/l,カルシウム3.7mEq/l,リン(P) 2.2mg/dlで血清浸透圧は425mOsm/l,血糖113mg/dlであった. Kを含む5%ブドウ糖液の輸液を行なつたところ,治療開始後5日目にはNa, K値は正常化していたにもかかわらず,横紋筋融解を発症した.血清P値は1.6mg/dlと低下しており,高Na血症と低K血症による筋肉障害に加えて, Pを含まない大量輸液による低P血症が加わり,横紋筋融解をきたしたと考えられた.

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