先天性異常フィブリノゲン血症に血栓を合併することは比較的まれとされている.今回,網膜中心動脈閉塞を合併した内頚動脈閉塞症で発症し,ウロキナーゼ(UK)による局所線溶療法を実施し動脈造影にて改善のみられた発端者とその家系の検索を行ない,先天性異常フィブリノゲン血症の一家系として報告した.発端者の異常フィブリノゲンの性状は,フィブリンモノマーのポリマー化の障害であり,フィブリノペプタイドAの放出反応,第XIII因子による架橋形成には異常をみとめなかつた.また発端者のフィブリン塊に対するUKの感受性は正常と同一であつた.家系調査により血栓の多発はないが,採血しえた8名の同胞中5名に異常フィブリノゲンの存在が疑われた.