日本内科学会雑誌
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Colony stimulating factor (CSF)産生甲状腺未分化癌の1例
高岡 和夫井上 勝一藤屋 秀一岸 不盡彌阿部 庄作川上 義和小林 正伸石川 直菊地 由生子
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1986 年 75 巻 1 号 p. 69-74

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抄録

症例は55才,男性.頭頂部の腫瘤を自覚した後,胸部X線像上腫瘤陰影を指摘され,さらに前頚部の板状硬化が出現した.頭頂部腫瘤の病理診断は転移性未分化癌(巨細胞型)で,頚部腫瘤の吸引針生検でも巨細胞型悪性腫瘍細胞が検出された.病状は急速に悪化した.死亡時診断は,臨床経過と剖検所見より,甲状腺原発未分化癌とした.末梢血白血球数は死亡の約3週間前より急速に増加して80000/mm3に達し,常に成熟好中球で占められた.腹水より分離継代した癌細胞の培養液を検討した結果,本症例は文献的検索の限り世界で初例のCSF産生甲状腺原発未分化巨細胞癌と考えられたので報告する.

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