日本内科学会雑誌
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トルコ鞍上部内頸動脈瘤により可逆性の下垂体機能低下症と高プロラクチン血症を呈した1例
北 義人川東 正範中林 肇竹田 亮祐臼倉 教臣波佐谷 兼綱
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1986 年 75 巻 12 号 p. 1756-1763

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抄録

症例は61才,女性. 59才より恥毛脱落と全身倦怠感,耐寒性低下あり, CT上下垂体小腫瘍を,脳血管写上トルコ鞍上巨大動脈瘤を認めた.内分泌学的に,血漿ACTHとコルチゾール(F)は低値で低血糖に無反応,リジン-8-バゾプレッシンとCRFに反応した. T3, T4, TSHは低値でTRHに反応し, LH, FSHはLH-RH連続投与に反応した. GHは低値でアルギニンと低血糖に無反応で, GRFに反応した.血漿PRLは>300~154ng/mlと高値であつた.トルコ鞍上動脈瘤クリッピング術後PRLは20ng/mlに著減し, F, LH, FSH, T3 T4等は上昇した.これより,本例の下垂体機能低下症と高PRL血症は,動脈瘤の視床下部下垂体茎の圧迫に起因したと考えられ,また下垂体小腫瘍も合併した点で興味深い.

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