1986 年 75 巻 3 号 p. 414-419
症例は46才,女性.意識障害(昏迷)を主訴として入院した.腋毛,恥毛,頭髪はうすく,痩せが著明で血糖値39mg/dl, K 2.5mEq/l, Ca 3.9mEq/l, ECG上著明なQT延長(QTc0.80″)を認めた.ブドウ糖含有電解質溶液の輸液中に心室頻拍,心室細動が出現し,呼吸停止,瞳孔散大,対光反射の消失をみた.電気的除細動心マッサージ・副腎皮質ステロイドの静注などにより蘇生しえた. HGHは正常反応, TSH, Prolactin, LH, FSHは過大反応を示したが, ACTHは測定感度以下で,インスリン, metopirone, CRFなどの刺激に無反応であつた. metrizamide CTにてempty sellaが証明された. hydrocortisone 20mg/日の投与でQTcは正常化した.