75 巻 (1986) 4 号 p. 559-562
後腹膜腔のhemangiopericytomaにより,遷延性低血糖症状を呈した非常に希な症例を報告する. 61才,男性で早朝空腹時に精神症状を呈し,数日後昏睡状態にて緊急入院し,著明な低血糖を認め, 100g経ロブドウ糖負荷試験では境界型を示し,血中インスリンは基礎値は低く.糖負荷試験では遅延反応を示した.腹部X線写真とCTにて巨大な後腹膜腫瘍を認め,腫瘍部分摘出術後,糖負荷試験では血糖,インスリンともに反応の改善を認め低血糖は消失した.腫瘍の病理組織学的所見はhemangiopericytomaと診断され,また患者血中のインスリン様活性(ILA)は異常高値を示し,本症例では腫瘍由来ILAによる低血糖の発現が強く示唆された.