日本内科学会雑誌
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フロセミド長期服用によるpseudo-Bartter症候群の1症例
腎における尿希釈・濃縮能に対する検討
坂本 尚登三科 孝夫小林 豊丸茂 文昭木川田 隆一
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1986 年 75 巻 4 号 p. 570-575

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抄録

症例は29才,女性. 14年間のfurosemide服用歴と浮腫増悪に対する習慣性の食塩制限を認めた.低K血症性アルカローシスの精査で入院.レニン・アルドステロン系の亢進,正常血圧, JG細胞過形成等からBartter症候群類似の病態を示したが,約420mEqのK欠乏にもかかわらず,ネフロン希釈部のCl再吸収は正常で, K欠乏補正後も不可逆性の濃縮障害を示した.腎組織はJG細胞過形成,間質の線維化,円形細胞浸潤,遠位尿細管基底膜肥厚を示した.本例は利尿薬長期服用,食塩制限, K欠乏により不可逆性濃縮障害を伴つたpseudo-Bartter症候群と考えられた.なお, Bartter症候群の鑑別に利尿薬中止後の希釈能検索の重要性が示唆された.

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