1986 年 75 巻 5 号 p. 611-617
近年IgA腎症において5~20%の症例が腎不全に陥いると報告され,治療方法の確立が望まれている.今回IgA腎症18症例にprednisoloneとcyclophosphamideの併用療法を施行し,その近接効果を検討した.治療群においては7例に尿所見の正常化が得られたが,コントロール群11例に正常化例は認められなかった.治療群においては,以下の症例に本療法が有効である傾向が認められた. (1)発症より治療開始までの期間が短い症例, (2)血清IgA値が正常の症例, (3)腎組織障害の軽度な症例, (4)蛍光所見でIgAが微細顆粒状に沈着する症例, (5)電顕所見でEDDがメサンジウムのみに認められる症例.本療法は特に早期のIgA腎症に有効性が期待される.