きわめてまれな特発性若年性骨粗鬆症の成人例を経験し,内分泌学的,硬組織学的に検討を加えた.症例は31才,男. 16才時,頚椎圧迫骨折,以後,脛骨骨幹端部骨折を7回,上腕骨骨折を3回,踵骨剥離骨折を1回経験した,身長168cm,体重62kg,身体所見上特に異常なし. X線像上全身の骨陰影が著明に減少し,硬組織学検査にて骨形成能が低下した粗鬆症と確認した.本例は遺伝性がなく,基礎疾患も否定でき,皮膚コラーゲンも正常である事から特発性若年性骨粗鬆症と診断された.本例は本邦では文献上報告がなく,成人期にも易骨折性を示し,内分泌学的に副甲状腺分泌不全を認めた.骨粗鬆症の病態を考える上で貴重な症例と考えられる.