日本内科学会雑誌
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悪性リンパ腫の心房浸潤によりsick sinus syndromeを呈した1剖検例
石橋 俊湯尾 明永井 良三大内 尉義今鷹 耕二矢崎 義雄高久 史麿岡 輝明
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1987 年 76 巻 1 号 p. 100-105

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抄録

51才,男性.昭和55年,頚部腫瘤などで初発し,生検にて,びまん性リンパ肉腫と診断され,放射線療法をうけていた.その後,放射線脊髄症による四肢麻痺を併発した.悪性リンパ腫は昭和57年10月より白血化し,高カルシウム血症をも伴い,昭和58年1月に死亡した.本例の経過中,昭和57年2月頃から心房細動が出現し,時に洞性徐脈や心房粗動を呈していた.同年11月には接合部調律,上室性期外収縮などの多彩な不整脈を伴い,さらに-過性の心房粗動後に洞停止によるStokes-Adams症候群をきたし, sick sinus syndromeと診断された.その後,不整脈は接合部調律で固定された.剖検上,洞房結節と房室結節を含む右心房に広範なリンパ腫細胞の浸潤が認められ,二次的にsick sinus sydromeをきたしたと考えられた.

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