1987 年 76 巻 1 号 p. 106-111
持続性低補体を示し,腎生検にて診断された膜性増殖性糸球体腎炎3例について,長期経過を観察し得,補体活性化の面より検討し,興味ある事実を認めた. 3例の内1例は,尿所見異常は軽度のままで低補体は必ずしも疾患の活動性と一致しないことが考えられた.血清C3値は全例著明な低値を認めているが,他の成分の変動はそれぞれ異なる傾向を示していた. C3分解因子は3例すべてに認められ, C3NeFは1例のみに認められ,他の2例はC3NeFとは異なる補体活性化因子と考えられた. MPGNにおける低補体の原因は一元的にC3NeFによるとは考えられず,多様な機序の存在が示唆された.