日本内科学会雑誌
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長期にわたる肝組織所見の推移を観察し得たCaroli病の1剖検例
渡辺 俊明笹川 哲哉大貫 啓三上村 朝輝市田 文弘
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1987 年 76 巻 12 号 p. 1851-1855

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抄録

長期にわたる肝組織所見の推移を観察し得たCaroli病の1例を経験したので報告する.症例は54才の女性で,幼小児期より腹痛発熱発作を繰り返し,昭和54年肝胆道系の精査のため当科を受診した.入院時尋常性乾癬と胆道感染の所見がみられ,各種画像検査所見で肝内胆管の多発性の嚢胞状拡張と門脈圧亢進所見を認めた.その後Caroli病として経過を観察したが,昭和59年より肝性脳症がみられるようになり,昭和60年急性腎不全を併発し死亡した.剖検肝の組織標本では先天性肝線維症に類似した所見を認めたが, 21年前の外科的肝生検組織では先天性肝線維症に特徴的な線維化像は認められず,本例はCaroli病の純型から二次的な線維化により先天性肝線維症合併型に類似した臨床病理所見を呈するようになったものと推測した.

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