1987 年 76 巻 12 号 p. 1862-1867
関節痛と腰痛を主訴とし,低リン血症と高アルカリフォスファターゼ血症を示した,非家族性ビタミンD抵抗性骨軟化症の18才,男性例について報告する.骨X線像では長管骨にLooser's zoneを認め,骨シンチグラフィでは99mTcの著しい取り込み増加を認め,生検骨の組織像は類骨と結合組織の増生を示した.低リン血症の原因として,リン酸の腸管における吸収不全と腎尿細管からの喪失が確認された.病因として二次性副甲状腺機能亢進症は否定され,ビタミンD代謝異常は腎からのリン酸喪失に関与しない事が判明した.本疾患の青年期発症例は過去に報告がなく,血漿レニン活姓の上昇を見たことも注目すべき点と思われた.