日本内科学会雑誌
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肺癌切除後筋症状の著しい改善をみたEaton-Lambert症候群の1例
島田 貴城市 貴史村井 誠二宮島 真下下条 貞友宮原 正
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1987 年 76 巻 5 号 p. 707-712

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抄録

61才,男性,下肢から始まる四肢脱力で発症したEaton-Lambert症候群で小細胞性肺癌を合併していた.肺腫瘍摘出後,下肢の筋力低下の著明な改善,筋電図上漸増現象の消失, DNA test,抗核抗体の陰性化が認められた.また,腫瘍の免疫組織学的検索にて, antidiuretic hormoneおよび神経細胞に存在するneuron specific enolase (NSE)に対する抗体に染色される細胞が見出された.文献上NSEは燕麦細胞癌に特異性が高いといわれている.燕麦細胞癌の出現に伴い癌細胞に対する免疫学的反応が起こると同時に,神経組織に対する免疫反応が惹起され筋無力症状が発現したと考えられる. DNA test,抗核抗体の陰性化はこの説を支持するものである.

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