日本内科学会雑誌
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埼玉県下でみられた恙虫病によると思われた1死亡例および過去の死亡例の文献的考察
酒井 洋本多 一文大和田 篤雄島田 長也
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1987 年 76 巻 5 号 p. 736-739

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抄録

血管内凝固症候群(DIC)で死亡し,血清検査にて死後恙虫病によると思われた1例を経験したので,昭和37年以降の死亡例の文献的考察も含め報告する.症例は67才,女性.農作業の15日後より発熱,全身倦怠感出現し入院.入院時検査よりウイルス感染症と合併した肝障害を疑い対症療法を行なうが,出血傾向著明となり,第8病日死亡.血清検査でリケッチアの感染が推定された.最近の8死亡例を比較したところ, 7例は生前診断不能で, DICにて3週以内に死亡し,入院時診断は何等かの感染症+肝障害が多かった.従って発熱,肝障害,発疹,出血傾向,生活歴等で本症を疑い,血清診断を待たず有効な抗生物質を早期に開始することが肝要である.

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