日本内科学会雑誌
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後腹膜線維症を主徴とした胃幽門部スキルスの1例
大和田 稔新津 洋司郎漆崎 洋一古川 勝久根田 寛渡辺 直樹高後 裕漆崎 一朗
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1987 年 76 巻 6 号 p. 837-843

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抄録

悪性腫瘍に合併した後腹膜線維症は比較的まれな疾患であり,その発症機序も不明な点が少なくない.今回我々はスキルス胃癌に伴った後腹膜線維症の1例を経験したので報告する.症例は73才女性で,両側水腎症で発症,直腸狭窄を合併し,特発性後腹膜線維症が疑われた.水腎症や直腸狭窄は長期間進行せず,半年後にはスキルス胃癌を発症した.本症の後腹膜線維症とスキルス胃癌との関係を考察すると,臨床的にoccult cancerの状態のスキルス胃癌が存在し,その後腹膜への浸潤が引き金となってchronic sclerosing inflammationをくり返し,後腹膜線維症の病態が形成されたと考えられる.

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