日本内科学会雑誌
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バセドウ病を併発した家族性高コレステロール血症の1例
中尾 真二上田 幹夫山下 静也松沢 佑次原田 実根松田 保
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1987 年 76 巻 6 号 p. 861-866

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抄録

症例は28才,男性.腱黄色腫とび漫性甲状腺腫の精査のため当院入院.血清総コレステロール(chol) 500mg/dl,中性脂肪115mg/dl, T423.1μg/dl, T35.12ng/ml,等の検査所見と,家系調査および皮膚線維芽組胞培養による125I-LDL結合能測定からバセドウ病を併発した家族性高cho1血症と診断.血清総cholは甲状腺機能が正常化するにしたがって上昇したが, probucolの内服により最終的にはバセドウ病の治療前値以下まで低下した.本症例では著しい腱黄色腫と高chol血症を呈しながら有意な冠動脈病変がみられなかったが,その原因として食事,遺伝因子の他に,甲状腺機能亢進状態が冠動脈硬化の進展を遅らせていた可能性も考えられた.

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