日本内科学会雑誌
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高令者にみられる中枢性低ナトリウム血症に対するfludrocortisone acetate療法
石川 三衛斉藤 寿一金子 健蔵岡田 耕治葛谷 健
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1987 年 76 巻 6 号 p. 867-873

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抄録

頭部外傷後1~2週間以内に発症した老令者の著しい低ナトリウム(Na)血症(105~117mEq/l)の3例を報告する.尿中Na排泄は225~324mEq/dに達した.低血漿浸透圧にもかかわらず,血漿ADHは5.5±1.6pg/mlと相対的に高値であった。しかし, 3例とも体重減少・脱水所見を認めADH分泌不適合症候群には合致しなかった.血漿レニン活性は0.25±0.13ng/ml/h,血漿アルドステロンは1.5~5.5ng/dlであった.両者は立位フロセミド試験に無反応であるが,アルドステロンの分泌はACTHに正常な反応を示した.低Na血症は比較的多い量のfludrocortisone acetateにより正常化した.本病態には, ADHの分泌亢進やレニン・アルドステロン系の異常など中枢性・腎性因子が関与することが示唆される.

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