76 巻 (1987) 7 号 p. 1044-1050
症例は48才男性で昭和37年に膀胱腫瘍で尿路変更術を受け,頻回の腎孟腎炎で右腎機能が著しく低下していた.昭和56年心筋梗塞を発症し壁在血栓が証明され,昭和59年1月16日左腎梗塞を生じた.病初低下していた腎機能も次第に改善し,クレアチニン・クリアランスで30l/日程度となったが, KやClが上昇し,血液pH7. 101, HCO-36.4mM/lと著しい代謝性アシドーシスを認めた.この間の尿pHは7以上で,重曹6gを経口投与し代謝性アシドーシスは正常化したが,重曹を中止すると代謝性アシドーシスは限りなく進行した.この間も尿pHは7以上で,重曹負荷時に尿PCO2の上昇が小さく, voltage dependent型の遠位尿細管障害が考えられた.