日本内科学会雑誌
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Mönckeberg動脈硬化症を伴った塩基性リン酸カルシウム沈着症の1例
前田 貞則近藤 啓文柏崎 禎夫
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1987 年 76 巻 7 号 p. 1058-1063

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抄録

症例は35才主婦で,高校時代より手指,足趾,肩,肘関節に一過性の関節痛発作が出没. 35才時,右母指MP関節に関節炎が出現したため,当科受診. X線像上頸部,手指,肩などの関節周囲および両下肢血管壁に沿って石灰沈着像を認めた. CT scan,下肢動脈造影により下肢動脈壁に顆粒状と一部リング状石灰沈着を確認し, Mönckeberg動脈硬化症と診断した.本例の関節周囲の石灰沈着は,その部位と形態,及び沈着物の性状分析より塩基性リン酸カルシウム沈着症によるものと考えられた. Mönckeberg動脈硬化症と塩基牲リン酸カルシウム沈着症の合併した報告例はいまだない.

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