日本内科学会雑誌
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凝固異常,高脂血症およびNK活性の低値を認めた下垂体小人症の1症例
森 美貴出口 晃津田 雅之長野 正和田 英夫田中 公出口 克巳白川 茂
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1987 年 76 巻 7 号 p. 1078-1082

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抄録

症例は21才の女性で,外表奇形を伴う下垂体小人症である.入院時検査にて, APTT延長, TG高値を示した.身長150.5cm,体重47kg. 2次性徴の発育は不良,頭部X線写真,頭部CT像では,トルコ鞍の消失をみた.血中LH, FSH, GHは低値を示し,負荷試験でも無反応. preβ-lipop rotein, VLDLは高値でありFredrickson IV型を示した.凝固第XII, XI因子の低下をみた.さらに, Leu 7陽性細胞, NK細胞活性のみ低値であった.染色体異常は認めなかった.両親共に凝固異常を示さなかったが,母親は脂質検査にて患者と同様な所見を呈した.以上,本症例は下垂体機能低下にFredrickson IV型高脂血症,凝固第XII, XI因子低下, NK細胞活性低値等を伴うというまれな症例である.

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