1987 年 76 巻 7 号 p. 1105-1108
EDTAの存在下で血小板が集塊形成をおこし,自動血球計数装置による血小板数がみかけ上減少する偽性血小板減少症の1例を経験した.症例は72才,女性.昭和43年発症の慢性関節リウマチである.経過中突然,血小板数が著減し,血液像にて血小板の集塊形成を認めた.患者血清中の7S分画に血小板の集塊形成をおこす因子が存在し,抗ヒトIgMウサギ血清で患者血清7S分画を吸収することにより本現象が阻止された.同様に患者血清中のリウマトイド因子を吸収することによっても本現象を阻止することができた.以上より本症例における偽性血小板減少症をおこす因子として,患者血清中に存在する低分子IgMリウマトイド因子が考えられた.