著明な好中球増加を呈した肺大細胞癌を経験,手術時に得られた材料をヌードマウスに移植したところ,ヌードマウスの末梢好中球増加,脾腫を来し,ヌードマウス移植片の培養上清中にはヒトに対する顆粒球コロニー刺激因子(CSF)を認めた.このCSFは分子篩高速液体クロマトグラフィー(HPLC)では分子量3万ダルトン,等電点HPLCではpH4.7であった.さらにこの培養上清中にはヒト前骨髄性白血病細胞HL-60に対する分化誘導因子活性を認めた.同様のHPLCで分子量3.4万ダルトン,等電点はpH4以下であった.この症例の肺癌細胞はCSFだけでなく分化誘導因子をも産生する腫瘍と考えられ,報告した.