日本内科学会雑誌
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分化誘導活性を認めたコロニー刺激因子産生肺癌の1例
塩出 純二岡田 裕之谷川 高小沢 亘小川 潔三村 久畠 清彦元吉 和夫斎藤 政樹三浦 恭定
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1987 年 76 巻 7 号 p. 1109-1113

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抄録

著明な好中球増加を呈した肺大細胞癌を経験,手術時に得られた材料をヌードマウスに移植したところ,ヌードマウスの末梢好中球増加,脾腫を来し,ヌードマウス移植片の培養上清中にはヒトに対する顆粒球コロニー刺激因子(CSF)を認めた.このCSFは分子篩高速液体クロマトグラフィー(HPLC)では分子量3万ダルトン,等電点HPLCではpH4.7であった.さらにこの培養上清中にはヒト前骨髄性白血病細胞HL-60に対する分化誘導因子活性を認めた.同様のHPLCで分子量3.4万ダルトン,等電点はpH4以下であった.この症例の肺癌細胞はCSFだけでなく分化誘導因子をも産生する腫瘍と考えられ,報告した.

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