日本内科学会雑誌
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特異な側副血行により高令まで無症状であった肝部下大静脈閉塞症(Budd-Chiari症候群)の1例
栗田 昌裕塚原 浩章松浦 誠一森田 敏和藤城 芳枝平野 正憲岩瀬 透右田 徹杉本 恒明
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1988 年 77 巻 1 号 p. 34-40

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抄録

側副血行による左心拡大を呈した高令女性の肝部下大静脈閉塞症の1例を報告した.特記すべき家族歴既往歴はなく, 67才検診でX線像上心陰影拡大と肝機能異常を指摘され,外来通院中,肝シンチで肝形態異常を認め精査のため入院.現症で浮腫・腹水・腹壁静脈怒張なく,内視鏡で食道静脈瘤も認めない.画像検査では尾状葉腫大を認め腹腔鏡・肝生検では肝硬変を確認,血管造影で著しい門脈下大静脈シャントと,下大静脈から脊椎を横切り心臓の左外側に上行する太い異常側副血行を見出し,静脈撮影で肝部下大静脈膜様閉塞症(Budd-Chiari症候群)と診断した.多彩で著明な側副血行と乏しい自他覚所見から早期からの側副血行形成が推測された.

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