日本内科学会雑誌
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心筋梗塞は責任冠動脈の狭窄のみで発症するか心筋梗塞発症早期に血流のみられる責任冠動脈狭窄例の発症機構
長尾 建上松瀬 勝男佐藤 和義佐藤 洋一渡辺 郁能弓 幸史河野 通梶原 長雄
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1988 年 77 巻 3 号 p. 332-336

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抄録

心筋梗塞発症ごく早期の冠動脈造影では,責任冠動脈の血流が遅延なく流れている狭窄のみを呈する例(狭窄群)を見る.この狭窄群の心筋梗塞は責任冠動脈の狭窄のみで発症するか否かを知る目的で,対象を冠動脈造影と血栓溶解療法を実施し,かつ血清creatine kinase (CK)を30分毎に連続測定したcollateralのない初回梗塞33例とした.冠動脈造影所見より狭窄群,溶解群(本療法で責任冠動脈の血流が再開した),無効群(本療法で血流が再開しなかった)に分け,そのCK流出曲線を3群間で比較した.この結果,梗塞発症早期のCK最大流出速度と流出動態は狭窄群と溶解群が近似していた.以上より狭窄群もまた,責任冠動脈の閉塞があったと推測した.

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