日本内科学会雑誌
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金製剤による免疫グロブリン低下により難治性肺炎・肺水腫をきたした慢性関節リウマチの1例
高橋 貞夫藤田 学嵯峨 孝竹越 忠美山崎 義亀与得田 与夫玉井 利孝石崎 武志中井 継彦宮保 進
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1988 年 77 巻 7 号 p. 1041-1045

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抄録

30才,女性.慢性関節リウマチの診断にて金製剤(金チオリンゴ酸ナトリウム)の筋注療法を受け,低γグロブリン血症から難治性肺炎・肺水腫を発症した1例を経験した.金製剤投与240mgの時点での電気泳動上γグロブリン濃度は1.18g/dlであり,難治性肺炎から肺水腫を発症した金製剤総量1690mgの時点では0.28g/dlと低下していた.血清免疫グロブリン値はIgG 456mg/dl, IgA 44mg/dl, IgM 56mg/dlであった. γグロブリン値の低下に伴ってリウマチ因子の陰性化・炎症反応の改善がみられ,関節痛も軽快していた.金製剤中止後9カ月の時点でγグロブリン濃度0.73g/dlと上昇を示しリウマチ因子の陽性化が認められた.金製剤投与による免疫グロブリン低下が〓因となり発症した難治性肺炎・肺水腫症例と考えられた.

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