1988 年 77 巻 7 号 p. 1077-1080
症例は34才男性,食道造影にて粘膜下腫瘍を疑われ,精査の目的で入院となった.腫瘤は胸部CTでは,比較的高いCT値をとり,造影効果は全く見られず,充実性の腫瘤を疑わせたが, SR法, longSE法によるMRIを施行したところ,強信号に描出され,水,脂質が成分の中心であり,嚢腫と考えられた.超音波内視鏡では,腫瘤と食道固有筋層との連続性が疑われ,最終的に,食道壁内の嚢腫と考え,手術を施行した.組織学的に,軟骨,腺組織,筋組織を認め,気管支嚢腫と診断した.超音波内視鏡, MRIが診断に有用であった食道筋層内気管支嚢腫の1例を報告した.