日本内科学会雑誌
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慢性肝疾患に伴う脾機能亢進症および門脈圧亢進症に対するpartial splenic embolization
松尾 秀徳岩本 昭三井戸 章雄大道 和宏御堂 義雄藤原 卓今津 通教楠本 征夫
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1988 年 77 巻 8 号 p. 1206-1211

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抄録

慢性肝疾患に伴う脾機能亢進症および門脈圧亢進症の患者7例に対して,部分脾動脈塞栓術(PSE: partial splenic embolization)を施行した.対象となった7例は,いずれも,肝硬変を伴っており, 3例では肝細胞癌を合併していた. PSE後,全例で血小板の増加を認めたが,この効果は,肝硬変の重症度や全身状態の良否に影響されると考えられた.しかし,比較的肝予備能が保たれている症例では,血小板の著増と1年以上にわたる効果の持続が認められた.食道静脈瘤に対しては,緊急止血効果をはじめとして,その有用性を示唆する結果を得た.重篤な合併症は認められず, PSEは,慢牲肝疾患に伴う上記病態に対して有用な治療法と考えられる.

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