1988 年 77 巻 8 号 p. 1233-1237
クローン病の治療経過中に続発性のアミロイドーシスを合併した症例を報告する.症例は23才男性, 6年前より腹痛を伴う下痢が出現し1年後回腸・結腸型のクローン病と診断され,その後約5年間症状の寛解と増悪をくり返していた.入院5日前より水様下痢,腹痛および体重減少等が急速に進行した.入院後の検査において,回腸および結腸のクローン病の病変の増悪は認められなかったのに対して,新たに空腸を中心にびまん性に内視鏡上粗造かつ易出血性粘膜と顆粒状隆起を認め,同部の生検よリアミロイド(AA蛋白)の沈着を証明した. 5年前の大腸の病変の組織学的検索ではアミロイドの沈着を認めなかった.治療として中心静脈栄養とdimethylsulfoxideの併用療法を行い症状の改善を認めた.