日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
脳波上synchronous sharp waveを呈した猪瀬型肝性脳症の1例
矢沢 正信羽生 憲直輪湖 正和田 秀一柳沢 信夫
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 77 巻 8 号 p. 1257-1261

詳細
抄録

症例は,若年時より精神発達遅延のあった49才の女性. 47才時,上肢振戦,ふらつき歩行,行動異常が出没,進行性の痴呆があり,意識障害発作を繰り返した. 49才時,半昏睡状態で入院.脳波上, 2日間に渡りperiodic synchronous discharge (PSD)類似のsynchronous sharp waveが認められた.血清アンモニアは241μg/dlと高値で,インドシアニングリーン15分停滞率も28%と高く,血管造影所見から猪瀬型肝性脳症と診断した.猪瀬型を含む肝性脳症の脳波が周期性放電を呈し得ることは知られているがCreutzfeldt-Jakob病のPSDと同じ型の脳波異常が認められた報告はこれまでない.脳波上, PSDを示す意識障害の鑑別疾患に猪瀬型肝性脳症も考慮すべきことを示した.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top