腹痛,下痢を主訴とした19才女性で内視鏡下生検により診断のついたアメーバ性大腸炎例を報告する.患者は海外渡航歴もなく健康であったが,特に誘因なく下腹部痛, 5×/日程度の下痢を認め,止痢薬の投与を受けたが軽快せず,血便を認めたため入院となった.当初炎症性腸疾患が疑われ注腸検査を施行したが異常所見がないため,大腸鏡検査を施行した.大腸粘膜はほぼ正常であったが所々に出血斑を認め,生検組織よりアメーバが証明され,メトロニダゾールの内服により治癒した.検索した限りでは家族友人にアメーバ原虫の保有者はおらず,感染の危険因子は考えられず,臨床経過も下血や菌血症を含併する等アメーバ性大腸炎として非典型的であった.