日本内科学会雑誌
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両側手指変形,若年性白内障,好中球墨粒貪食能低下がみられた高IgE症候群の1例
武市 俊彰鳴尾 隆子伊藤 淳子西野 洋三浦 真司小阪 昌明斎藤 史郎白神 〓
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1989 年 78 巻 11 号 p. 1586-1591

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抄録

21才,男性.生後3~4日より黄色ブドウ球菌による皮下膿瘍,肺炎などを反復していた.アトピー様皮膚炎と粗野顔貌,両側手指変形,両眼白内障を認めた. WBC 840O/μl (好酸球6%). IgD 133mg/dl, IgE 154500IU/mlと著増.リンパ球サブセット,幼若化反応は正常,即時型・遅延型皮膚反応は消失していた.好中球遊走能(Boyden法)は軽度亢進, skin windowtestでは初期反応の低下と好中球比率の再上昇が見られた.好中球墨粒貪食能(全血法)は低下していたが,血清中に抑制因子は認めなかった.文献上,白内障の合併例はないが,類似の手指変形や関節過進展,骨の異常などを伴った例が見られ,免疫調節異常や結合組織異常に共通する生体防御因子の先天性の欠損が推定された.

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