1989 年 78 巻 11 号 p. 1619-1620
症例は24才,女性.ムンプス罹患後に出血斑多数出現.血小板のみ0.9万/μlと著減,骨髄は正形成で巨核球数222/μl.抗血小板抗体はPAIgMのみが高値でPAIgG, PAIgAは正常.ウイルス抗体価はムンプスのみが16倍(CF法)と増加. wet purpuraを認めたためステロイド薬を投与し,合併症もなく治療開始2カ月後に血小板は正常に回復した.ムンプス罹患後IgM型抗血小板抗体のみが高値を示した急性ITPの報告はなく,病態を考える上で興味深い症例と思われた.