日本内科学会雑誌
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Seroconversionの誘発により良好な経過をとったB型肝炎ウイルス(HBV)腎症の2例
池田 修二吉永 泰彦谷合 一陽高橋 香代槇野 博史太田 善介真鍋 康二山田 剛太郎
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1989 年 78 巻 12 号 p. 1752-1757

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抄録

B型肝炎ウイルス(HBV)関連膜性糸球体腎炎とHBV関連膜性増殖性糸球体腎炎の2例を経験し,おのおのの腎糸球体に, HBe抗原の存在を証明した.これまで, HBV腎症においてはseroconversionと相前後して腎症状の改善が見られることは知られているが,積極的にseroconversionを誘導して治療を行った報告は少ない.そこで,今回の2症例に対して, HBe抗原抗体系のseroconversionを自的に,副腎皮質ステロイド中断療法,インターフェロン療法を行ったところ,血中HBe抗原の消失, HBe抗体の出現と共に,尿蛋白の減少,消失が認められ,良好な経過をとった.以上の経験により, HBV腎症に対して積極的なseroconversionの誘導が有効と考え報告した.

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