1989 年 78 巻 3 号 p. 338-344
急性心筋梗塞の血栓溶解療法で血流再開の効果判定がcreatine kinase (CK)によって可能か否かを検討した.対象を初回冠動脈造影で血流が既に認められていた狭窄群, urokinase (UK)投与により血流が再開した溶解群,再開しなかった無効群の3群に分け, CKを連続的に測定し比較した. UK投与直前のCK値は狭窄群が他の2群に比し有意に(P<0.01)高値を示した. UK投与開始後のCK値は溶解群が無効群に比し開始後0.5~6時間で有意に(p<0.05)高値を示し,特に1.5時間以降では両群間で重複を認めなかった.以上より血流再開の効果判定はCKをUK投与直前の1点と投与開始後1.5~6時間の何れか1点の計2点の測定で可能であると結論した.