日本内科学会雑誌
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尿崩症,下垂体前葉機能障害と中枢性肺胞低換気を合併したサルコイドーシスの1例
東田 修二赤川 志のぶ三浦 寧子佐藤 隆室田 直樹田ノ上 雅彦大玉 信一橋本 憲一青木 延雄須田 吉広
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1989 年 78 巻 3 号 p. 374-378

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抄録

症例は28才,男性で,両側肺門,縦隔リンパ節腫大および肺野病変が認められたサルコイドーシスである.肺野病変が軽度にもかかわらずPaCO2が50torrと上昇し, CO2換気応答の著明な低下より中枢性肺胞低換気が示唆された.入院後,尿崩症が出現し, GH, ACTH分泌低下より下垂体前葉の機能障害も認められた.頭部CT上,トルコ鞍上部に小結節を認め,脳脊髄液でリンパ球増加がみられた.ステロイド療法にて諸病像の著明な改善をみたが,尿崩症は不変であった.比較的まれとされる中枢神経サルコイドーシスの中でも,中枢性肺胞低換気の報告は極めてまれで,今まで欧米で3例のみで,本邦では本例が第1例めと思われる.

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