日本内科学会雑誌
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Colong-stmulating factor (CSF)産生悪性胸膜中皮腫の1例
岡崎 仁昭狩野 庄吾畠 清彦三浦 恭定元吉 和夫斎藤 政樹檜森 巽麻生 昇柏木 誠馬場 健児荒井 秀夫玉橋 信彰
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1989 年 78 巻 4 号 p. 506-511

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抄録

症例は43才,男性.胸部X線像上,右胸壁に接する腫瘤影を指摘され入院.精査の結果,悪性胸膜中皮腫(2相型)と診断された.その後腫瘍増大に伴って末梢白血球数(成熟好中球と好酸球)が増加し,死亡直前には135000/mm3 (成熟好中球91%,好酸球2%)に達した.剖検時採取した腫瘍継織をヌードマウスに移植したところ,著明な末梢好中球増加,脾腫を来たし,ヌードマウス移植片の培養上清中には顆粒球系コロニー刺激活性が認められ,以上からCSF産生腫瘍と確診された.本症例は文献的検索の限り世界で第2例目のCSF産生悪性胸膜中皮腫であり,また成熟好中球だけでなく好酸球増加を呈した点に関しても貴重な症例と考えられたので報告した.

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