後天性全身性無汗症の3例を臨床病理学的に分析し,その責任病巣と共に病態を検討した.症例は28才男性, 39才男性, 23才女性で,おのおの27才, 39才, 21才時より無汗とそれに伴う発熱発作が出現していた.いずれも無汗以外に神経学的な異常を認めず,定性的,定量的発汗機能検査では温熱性発汗,ニコチン,ピロカルピンによる局所発汗のいずれも発汗は認めなかった.皮膚生検では3例中2例で汗腺の形態異常を認めた.また1例に血清IgEの上昇を認め,プレドニゾロンの投与により3例中2例で無汗の改善を認めた.無汗の責任病巣としては汗腺が最も考えられ,何らかのアレルギー性の機序の関与が推察された.