心房組動を伴うバセドウ病の塞栓症についての検討を行った. 1982年から1986年までの5年間に経験したバセドウ病11309例中,心房細動を合併したものは288例であった.そのなかで6例(2.1%)に塞栓症が見られた.塞栓症の診断は,神経学的に病巣が確定し,臨床症状と臨床所見が塞栓症に合致したものとした.発作時の甲状腺機能は, 5例で亢進していた. 2例でβ-blockerが使用されていた.心房細動の型は4例が持続性,残りは発作性であった.バセドウ病では心房細動が唯一の塞栓症の誘発因子と考えられた.