日本内科学会雑誌
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Disopyramideにより,インスリン必要量が減少した糖尿病の1例
小野田 教高川越 美奈子清水 明実古守 知典高橋 千恵子大森 安恵平田 幸正
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1989 年 78 巻 6 号 p. 820-825

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抄録

症例は66才の女性.糖尿病のコントロール不良で,腎機能低下があり,全身浮腫のため入院した.入院後症状は軽快し,血糖も1日約40単位のインスリンでコントロール良好となった.入院第32日に,発作性心房細動を認めたが,不整脈は3時間で回復した.その後の発作予防のため, disopyramide 300mg/日を開始したところ,投与3日目より血糖が下がりはじめ,補食を加えてもなお低下傾向が続くため,インスリンを漸減した. disopyramideを100mg/日に減らしたところ,血糖は再び上昇し,最終的に1日22~24単位のインスリンで良好なコントロールを得た. disopyramideを100mg/日まで漸減した直後での朝食摂取前における血中CPRは, disopyramide投与以前のそれより高値で,内因性インスリンの分泌にdisopyramideが関与した可能性が示唆された.本例は, disopyramideの副作用としてインスリン必要量が急激に減少することを示した症例であった.

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