日本内科学会雑誌
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Alclofenacによりネフローゼ症候群と急性腎不全を同時に呈した1症例
神谷 康司中林 公正鈴木 道彦本橋 茂前村 千穂子北本 清長沢 俊彦
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1989 年 78 巻 7 号 p. 958-963

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抄録

症例は66才,女性.肩関節周囲炎に対してalclofenac 1500mg/日を約4週間服用したところ,ネフローゼ症候群および急性腎不全所見を呈した.薬物の中止によりこれらの症状は消退した.腎生検組織像は,光顕上,糸球体は微少変化のみで,間質では軽度の急性間質性腎炎の像が認められた.蛍光抗体法所見は陰牲で,電顕では,糸球体上皮細胞足突起の融合が認められた.間質の浸潤細胞をモノクローナル抗体で検索したところ, T4細胞がT8細胞より優位に認められ,間質性腎炎の発症にdelayed-type hypersensitivity reactionの関与が考えられた.

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