1989 年 78 巻 9 号 p. 1329-1332
臨床的には再発性脳神経炎のみを呈し, MRI-CTにて大脳に多発性白質病変を認めた2症例を報告した. 1例は, 17才,女性で, 12才時より3回視神経炎を繰り返した. 1例は, 48才,女性で,左側下位脳神経炎を2回繰り返した.両例とも中枢神経障害を示唆する臨床的所見はなく,誘発電位,髄液所見も正常であった.しかし,両例でMRI-CTで大脳に多発性白質病変を認め,多発性硬化症と診断した.本2症例は原因不明の脳神経炎に際してはMRI-CTは必修の検査項目であることを強く示唆している.