日本内科学会雑誌
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6.日本における高血圧の予後と合併症
柊山 幸志郎
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1990 年 79 巻 1 号 p. 29-32

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抄録

高血圧は, 40才台より急増する. 1986年度における40才以上の高血圧頻度は22.7% (男24.7%,女21.30%)と推定されている.その原因疾患は,一般地域集団においては, 95%前後が一次性(本態性)高血圧である.高血圧は放置すると,心血管病が発症する.食生活を初めとする環境の変化や降圧治療が普及したことにより,高血圧性脳出血,高血圧性左心不全,高血圧性脳症,急性腎不全など高血圧性血管病変を主因とする合併症は確実に低下したが,脳梗塞,心筋梗塞,解離性大動脈瘤などの主として動脈硬化性病変による合併症の発症率は必ずしも低下していない.欧米諸国と異なり,本邦では脳卒中の発症率が心筋梗塞のそれより高いのが特徴となっている.循環器疾患の総合的予防対策が必要である.

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