今日の高齢化社会では慢性疾患が急増し,薬物投与も長期にわたり,薬物性潰瘍は日常診療にて比較的遭遇することが多い.本稿では,胃病変の発生における胃粘膜血流の重要性を述べるとともに,薬物特にインドメサシン,アルコールの胃粘膜血行動態への影響と病変発生における役割を概説した.胃病変発生の主困は粘膜血流の低下とそれに続く組織低酸素状態であり,インドメサシン,アルコールともに粘膜虚血を起こし病変を発生するが,アルコールは濃度依存性にエンドセリンを血管内皮細胞から遊離し血管を収縮させ,粘膜虚血を引き起こし,病変発生に関与することを述べた.