1991 年 80 巻 10 号 p. 1575-1580
慢性肝炎と肝硬変の鑑別は,既往歴,身体所見や肝機能検査で比較的要易に行われる.しかし,なかには食道内視鏡,肝脾シンチ,肝超音波断層などの画像診断や腹腔鏡あるいは腹腔鏡下肝生検などを必要とする場合もまれならずある.慢性肝炎から肝硬変への進展過程を早期適確に診断することは必ずしも容易ではない.各種肝機能検査法の感度,生理学的作用機序を十分理解した上での綜合的な判断が必要である.それらの観点から,従来の肝機能検査法に加え,血液凝固・線溶因子および阻害因子の有用性を強調したい.