日本内科学会雑誌
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凝固異常症の分子生物学
斎藤 英彦
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1991 年 80 巻 10 号 p. 1682-1686

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抄録

血液凝固因子やその阻止因子の遺伝子が単離されたことにより,先天性凝固異常症の研究がDNAレベルで盛んに行われつつある.血友病の成因となる遺伝子異常には,第VIIIまたは第IX因子遺伝子の全欠損,挿入および点突然変異があり多様性の強いのが特徴である.またvon Willebrand病の疾病遺伝子も少数例において同定されている.さらに先天性血栓傾向を呈するアンチトロンビンIII欠乏症の遺伝子異常の解析も進んでいる.これらの研究の結果,保因者や出生前診断がDNAレベルで可能となったのみならず,凝固因子や阻止因子の構造と機能に関する普遍的な事実が明らかにされつつある.また遺伝子組換え技術による種々の凝固因子製剤が臨床応用されるようになった.

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