日本内科学会雑誌
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2.急性膵炎の画像診断(重症度判定)
中泉 明彦竜田 正晴北村 次男
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1992 年 81 巻 12 号 p. 1906-1911

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抄録

急性膵炎の診断および重症度判定におけるUS, CTの有用性について述べた. USは簡便性と緊急性に優れた検査法であり,急性膵炎の原因診断に有用である.重症例では膵内部の高ないし斑状エコー,膵辺縁の不整ないし不明瞭化,膵周囲などの明らかな液体貯留を認めることが多い.仮性嚢胞の形成とその推移を観察することにより,急性膵炎の後期合併症として問題になる嚢胞内感染,出血,消化管への穿破や腹腔内破裂の危険を予測ないし早期診断することが可能である.さらに嚢胞を映像下に穿刺することにより診断と治療を行うことができる. CTは消化管ガスに影響されない利点があり,重症例では膵腫大,膵辺縁不明瞭,内部構造不均一をほぼ膵全体に認め,後腹膜腔深部に液体貯留を認める. CT値が30以下の部位は壊死が考えられ,将来感染性膵壊死や膵膿瘍の危険があることより,厳重な経過観察が必要であり, CT値の経時的測定は合併症の早期発見に有用である.

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